‘私が桂木さんに魅かれたのは桂木夫人の不貞を知ったからである。<br />彼女のものうげな微笑をたたえた眼差しに私の心はいつしか捉えられ彼を愛すると共に夫人をも愛してしまう。<br />それが死へ結びつくとは知らずに。<br />’白鳥の羽根のそよぎにも似た若い女性の微妙な心の動きを追って北国の風景の中に展開する愛と死のロマン。<br />