今日も千歳の基地の上空にはジェット機が飛び交う。<br />小中青年の直情で翳りのない愛情は安らぎをもたらすこともなく百合の心は沈む。<br />離婚、年上、音楽家としての経歴、それらはいつも二人の間に横たわり、消えることはなかった。<br />愛とは互いに傷つけ合うだけのものであろうか……。<br />ひとりの女の過去と現在を通して、愛と性の哀しみを著者は清冽な筆致で描く。<br />