日曜日の深夜0時近く。<br />人もまばらな六本木で私を呼び止めた女がいた――知り合ったときには、彼女はまだ名門女子大の学生だった。<br />彼女が結婚を考え始めた2年前、物書きとして何とか生活できるくらいにはなっていたが、見栄が邪魔をして踏み込めず、彼女は他の男と結婚した。<br />そして行きつけの店で酒を飲むうちに、どこかに置いてきた時間が苦く解きほぐされていく……(「日曜の晩に」)。<br />六本木の夜から生まれる全6話の出会いや別れ。<br />大人の恋愛小説集。<br />