下駄を鳴らして歩きたくなる温泉の町、箱根強羅。<br />のどやかな軒並みの中に、その店はある。<br />店主は浮世離れした美しい女性。<br />古物商なのだが、扱う品は変わっている。<br />それぞれが次の持ち主を選ぶというのだ。<br />心ある器物、いわゆる付喪神なのだった。<br />最近出入りする青年には全てが驚くことばかり。<br />だが彼は知ることになる。<br />大切にされた道具には特別な思い出がこもっていることを。<br />身近なものが愛おしくなる、優しさに満ちた物語。<br />