生まれ育った松本から出ることのないまま大学生になった僕は、附属図書館のくたびれたソファで寝るか、数少ない友人の広崎と吉岡さんと慣れないビールを飲んで時間をつぶす毎日を送っていた。<br />季節とともにまわりはどんどん変わっていくのに、あの日のことを忘れられない僕は、ずっと動けずにいて――友情、淡い恋心、ちぐはぐな心とからだ――痛みと絶望の先に差すかすかな光のまぶしさに胸がひりつく、著者新境地の青春小説!