異形のものたち
母の遺品整理のため、実家に戻った邦彦。
安寧とは言えない妻との関係、存命だったときの母と父のこと……思いを巡らせながら、セミの合唱響く農道を歩いていた。
ふと気が付くと、向こうから白い日傘をさした和服姿の女性が歩いてくる。
女はその顔に、般若の面をつけていた――。
(「面」)その他、親友とその父親との思い出にひたるうちに驚愕の結末に辿り着く「森の奥の家」、人生の落ち目にいる女が奇妙な歯科医院に出会う「日影歯科医院」、病弱で一途な白人女性の繊細な手袋をめぐる「ゾフィーの手袋」、恩師の法事の帰りに立ち寄った山荘の地下道で、得体の知れない‘何か’が蠢く「山荘奇譚」、怖くも懐かしい鮮やかな幻想「緋色の窓」、の全6篇。
‘この世のものではないもの’は、いつも隣り合わせでここにいる。
甘く冷たい戦慄が本能を歓喜させる――大人のための、幻想怪奇小説集。
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