「その瞬間だった。<br />僕は針生とずっと一緒に生きていくだろう――という直感を得たのは」1973年夏。<br />都内随一の偏差値の低さを誇る私立高校で、宮本伊織は平凡な日々を送っていた。<br />元プロ演奏者の兄に誘われ、同級生の針生とともにロックバンド〈ニードルス〉を組むことに。<br />ボーカルの針生の持つ天性の「声質」が注目され、人気を獲得していくニードルスだったが、針生との絶望的な才能の差にも気づかされていく伊織は――。<br />