肉弾 (角川ebook)
豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。
親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。
そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。
地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。
そこに突然熊が襲ってきた。
なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。
ひとり取り残された貴美也。
後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。
情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。
ただ、死なないために。
自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。
人間に従属する歴史を繰り返した犬。
人間の営みにより生活をおびやかされた熊。
残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。
※本書は2017年10月6日に配信を開始した単行本「肉弾」をレーベル変更した作品です。
(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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