苦しみのあとに
ここに来たことを、ローラはもう後悔し始めていた。
家庭教師の求人広告を新聞で見たばっかりに。
そこには5年前、ローラのもとを去った男と同じ名があった。
ラファエロ・マドラレーナ。
それを見たとたん、ひとめでいい、ただ会いたいという欲望にかられるままに、ここまで来たのだ。
マドレーナ家――彼は代々続くスペインの領主で、やがて国に帰り、許嫁と結婚するのは免れない運命だった。
わかっていたのに。
辛い過去がよみがえりローラの胸は痛んだ。
あれほど愛されていたのに、なぜ別れなければならなかったの……。
更新中です。しばらくお待ちください。