炎と燃えた夏
ジャスティンは緊張のあまり、逃げだしたくなった。
いままで誰かを誘惑したことなんて一度もない。
だがいま、目の前にいる銀行の融資担当者を誘惑できなかったら、父親が遺した莫大な借金のせいで、家屋敷まで失ってしまう。
女の魅力を武器に最大限に活かせば、この担当者から融資を引きだせると、噂に聞いてきたが、体を差しだすつもりはないことを悟られないようにしなくては。
ジャスティンは知る由もなかった。
苦々しく見つめるその男が、融資担当者ではなく、実はこの銀行の頭取だということを――。
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