黒猫
サビーナは19歳。
父が決めた婚約者のニコラスは45歳。
結婚式は2カ月後に迫っているというのに、なぜか心がざわつく。
一人になって考えたくて、サビーナはスコットランドへ旅に出た。
ネス湖の湖畔をサイクリングしていると、にわかに濃霧が広がり、気づけば彼女は森の中にさまよいこんでいた。
ようやく山小屋を見つけて安堵するが、扉を叩いても反応はない。
すると窓辺のカーテンが揺れ、小さなふたつの緑の目が光って、思わずサビーナは悲鳴をあげた。
「サタンはお節介やきが嫌いでね」背後からの声に振り向くと、目も覚めるようなハンサムな男性が彼女を訝しげに見ていた。
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