ダーク・モザイク
列車で向かいに座った女性を見て、セシリーは、似ていると思った。
高級な毛皮のコートを着て、身なりこそ違うけれど、目鼻立ちも、すみれ色の瞳も、ライトブラウンの髪も、わたしと同じ。
――とその時、列車が轟音とともに急ブレーキをかけ、激しく揺れた。
病院で目を覚ました彼女は、記憶を失っていた。
彼女の名前は‘ジェシカ’といい、亡くなった父親の遺産相続のため、町に向かう途中の事故だったと、亡父の従弟ジェイムズが教えてくれた。
ジェイムズの屋敷で静養することになったが、なにか腑に落ちない。
スーツケースにあった服はどれも派手な高級品で好みではないし、ジェイムズがわたしを訝しむようなまなざしで見るのは、なぜ……?■伝説の作家アン・メイザーの、ミステリアスな記憶喪失ロマンスをお贈りします。
列車事故と記憶喪失がもとで、別の女性と入れ替わってしまったセシリー。
数奇な運命によって引き寄せられたジェイムズと、記憶という迷宮の中で恋に落ちてゆきますが……。
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