シチリアでもう一度
空港で、ローレルは癒えない心の傷を抱えたまま立ち尽くした。
滑走路に乗りつけた車から降りてくる、長身の男性に目をこらす。
クリスチアーノ。
見るだけで胸が締めつけられる夫の姿がある。
子どもを流産したとき、夫は連絡さえくれなかった。
大会社を背負っているとはいえ、初めての子どもだったのに――冷たいクリスチアーノに耐えきれず、ローレルは家を出たのだ。
いま、2年の別居の末に、離婚をするため戻ってきたローレルを、彼は何事もなかったかのように見つめ、掠れた声で囁いた。
「今晩は君のホテルに泊まる」
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