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伯爵と記憶をなくした娘

名前も身元も定かでない娘が、伯爵の心に留まるはずもなく……。
嵐が迫るなか、ずぶ濡れの娘は夜道を当てもなくさまよっていた。
寒さと疲れで事切れる寸前、通りがかりの伯爵ジョナサンに救われ、彼女は近くの牧師館へ運ばれたが、自分の名前も出自もわからなかった。
牧師夫妻は彼女を仮に‘ベス’と呼び、親戚として共に暮らし始めるが、一部の上流階級からは怪しまれ、冷遇されてしまう。
ああ、わたしを助けてくれた優しいあの人にまた会いたい……。
自分の名前は忘れても、彼のことは一生忘れられない。
そんなベスの願いは叶うこともないまま半年が過ぎたころ、夢にまで見たジョナサンと再会を果たすが、彼の挨拶に色を失った。
「はじめまして。
自己紹介させてもらえないか?」■記憶喪失に陥ったベスはひけめを感じながらも伯爵への想いを募らせますが、半年ぶりに会ったジョナサンは彼女のことをまったく覚えていないうえに、彼は上流階級にふさわしい花嫁を娶ることを求められていて……。
悲しい定めに翻弄される娘を劇的に描いたリージェンシー。




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