知らぬ間の伯爵夫人
藁にもすがる思いで愛なき結婚を受け入れた。
彼が伯爵だとは夢にも思わずに。
両親亡きあと悪辣な弟に騙され、無一文で家を出たケイトは真冬の荒れ果てた避難小屋で危うく命を落としかけ、偶然居合わせた謎めいた旅の紳士に助けられた。
グラント・リバーズと名乗るその陰のある美しい男性は、ケイトが婉曲に事情を話すと問題解決としての便宜結婚を申し出た。
出会ったばかりの薄汚れた娘に求婚するなんて、この人はいったい……。
だが他に生きる術もなく、彼女は朦朧としながら申し出を受け入れた。
通りすがりの農民を証人に結婚したあと、新居に案内されたケイトは豪壮な屋敷と使用人の数に驚き、慌てふためいた。
「あなたは誰なの?」グラントは平然と答えた。
「第4代アランデール伯爵だ」■姉を破滅に導く弟から隠れている状況で公人となってしまったことに狼狽しながら、女主人として健気に奮闘するケイト。
しかし、生きる喜びを教えてくれた夫へのかなわぬ愛を自覚した矢先に破滅の危機が訪れて……。
甘く儚い愛の夢、〈不肖の四貴族〉第2弾です。
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