ベネチアの愛の幻
ドレスも宝石もいらない。
彼がほしい――心も、すべて。
妹亡きあと孤児となった甥を独力で育てているレイチェルは、困窮のすえ赤ん坊の伯父にあたる富豪ジョバンニに助けを求めた。
手紙も電話も幾度となく無視され、進退きわまった彼女はベネチアのジョバンニ邸を訪れて使用人の手に赤ん坊を託し、あふれる涙をこらえながら豪壮な屋敷をあとにした。
だがすぐに追ってきたジョバンニに腕をつかまれ、強引に唇を奪われて、レイチェルは驚きのあまり呼吸を忘れた。
冷徹な実業家として名高い彼は、感情を交えず冷ややかに言った。
「敵を見くびってはいけないな。
君は僕と結婚するんだ」■僕たちの子供ということにして醜聞を最小限にすべきだと説明され、愛する甥のためにやむなく便宜結婚を承諾したレイチェル。
しかし、あまりにも強烈な彼の魅力を前になすすべもなく恋に落ちて……。
愛なき富豪と窮地の乙女の甘く切ないシンデレラ・ロマンスです。
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