眠れぬ夜を重ねて
■奈落の底で垣間見た光明は、更なる深淵への序章にすぎなかった。
■著名な医者の妻として瀟洒な邸宅で暮らすエミリーに、突然、思いがけないかたちで悲劇が襲いかかった。
あの優しかった夫が、愛人と一緒に焼死……。
莫大な借金だけが遺り、彼女は無一文で放り出されることになった。
人々には好奇の視線を向けられ、義母からはエミリーがいたらなかったせいだと責められる。
だが、最も恐れていた夫の兄ディロンの反応は予想外だった。
エミリーをずっと無視してきた彼はなぜか優しい気遣いを見せ、まるで騎士のようにそばについていてくれる。
しかも彼女を助けるため、便宜上の結婚さえ申し出た。
こんなこと、間違ってるわ――そう思いながらもほかに解決の道はなく、エミリーは承諾してしまう。
この決断が、より大きな悲劇を招くことになろうとは知りもせずに。
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