秘書のフルールはひどく不安な気持ちだった。<br />勤め先の出版社の経営が、業界の巨匠――キット・マローンによって引き継がれたのだ。<br />新しいボスとなるキットは、プレイボーイで自分の思うがままにふるまう人物らしい。<br />案の定、初めて顔を合わせた日、フルールは信じられない言葉を彼の口から聞かされる。<br />「これから一緒に僕の家へ行って愛し合おう」