空に浮かんでいるのは、血の色に染まった真っ赤な月だった。<br />これは‘あいつ’の目で、空から得物を捜しているのだ。<br />僕と恋人の枝折は温泉旅行に向かった先で、暴走車にはね飛ばされて意識を失った。<br />次に目が覚めると、そこは見たこともない異質な空間で、現実の世界とはかけ離れた不思議な街並みが広がっていた。<br />赤く染まった月が支配する世界の中で、僕たちの目の前に‘あいつ’が現れる。<br />枝折の命を守るため、僕は意を決して‘あいつ’と戦うが……。<br />