多くの負傷兵を乗せたオンボロの船はロシアへと帰る船だ。<br />その船に乗る者、それはもう生存の見込みがない者ばかりが押し込められている。<br />どんどん命を落としていく兵たちは、軍の上層部に悪態をつき、または船の中で次々と死んでいく仲間たちの想いに馳せている。<br />グーセフは聖書の言葉を引用し自らの苦しさを感じながら、故郷にいる家族の行く末を案じていた。<br />