狼皇子の片恋い積もりて【電子限定版】
……俺にこうして抱かれているのはいやか狼憑きとして生まれ落ち、鄙に追われた親王・敦誉。
幼い頃から仕えてきた藤原幸紀は、手塩にかけて育てた敦誉の成長ぶりを単純に喜んでいたが…。
「昨夜のことを、俺はあやまらぬ」――左大臣家二の君・藤原幸紀は、幼い頃から仕えてきた親王・敦誉の上洛に沸き立っていた。
狼の耳と尻尾を持って生まれたことで鄙に追われた敦誉が、東宮に立てるかもしれない! 伏魔殿たる宮中にあって凛とした公達ぶり、いずれよき后を迎え、帝に…。
だが幸紀の望みとは裏腹、当の敦誉はこちらを見ては不機嫌そうに溜息をつくばかり。
無邪気に慕ってくれた敦誉はもういないのか、幸紀は言い知れぬ寂しさを抱くが…。
そうして、ちぐはぐとした主従のまま迎えた満月の晩――。
電子書籍限定、書き下ろしSS「狼皇子の欲情積もりて」を収録!
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