延宝三年、越前大野藩の次期後継者を廃嫡せんとする謀略は深化していた。<br />構図は明瞭だった。<br />中心に居るのは大老の酒井忠清で、その黒い糸は大和郡山藩の分藩騒動にまで及んでいた。<br />郡山本藩には目付見習いとして落合勘兵衛の弟藤次郎がいるのである。<br />そんな情勢下、御耳役の落合勘兵衛が謎の失踪をとげた……。<br />正統派教養小説(ビルドンクスロマン)待望の第9弾!