逆袈裟魔と呼ばれる辻斬りが五年ぶりに江戸市中を騒がせている。<br />北町奉行所の元筆頭同心で今は居眠り番と揶揄される閑職の蔵間源之助の許に、島帰りの男が訪ねてきた。<br />五年前の事件で無実の罪で処刑された兄貴分の濡れ衣を晴らしてほしいという。<br />同じ頃、八万五千石の大名家の留守居役から、市中で行方不明となった藩主を探し出してほしいという影御用が舞い込んだ。<br />