延宝四年(一六七六)四月、越前大野藩主松平直良が帰国したあとの六月、藩御耳役・落合勘兵衛も三年ぶりの帰国をすることになった。<br />役向きではないが、塩川園枝との婚儀のためである。<br />東海道を尾張まで行き、中山道脇往還を使って大野へ入る半月ほどの旅程である。<br />だが、順調な旅は新たな刺客によって破られることとなった……