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原罪 〜キツネ目は生きていた〜

今年度最高密度のクライムミステリー登場。
「オレを捜せ」昭和をもっとも震撼させた犯人から元・捜査員に手紙が来た。
1957(昭和32)年。
カネがなく、集団就職列車に乗れなかった少年が津軽海峡を木舟で渡って襟裳岬の断崖をよじ登った。
37年後、少年は列島史上最大級の犯罪人となり、マスコミ、警察、拉致した社長宅に挑戦状、脅迫状を送り、キツネ目のモンタージュの顔を広く報じられる。
捜査員が行き着いたその男・キツネ目は、戸籍がない、係累がない、学籍簿がない、勤務証がない、結婚歴もない。
半島を妹とさまよい歩いたほかに生きた痕跡は何もなかった。
犯行に至る男の相棒は、ひたすらの孤独と、ホルモンの串打ちと、美貌の女と、老婆。
時代の底を這いずった彼らの原風景と今を、いかなるノンフィクションも届かなかった圧倒的人間観察、圧倒的リアリティ、胸を搏つ衝撃のラストで揺さぶる、今年度最高のクライムミステリー。
(底本 2021年11月発行作品)




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