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大逆事件

’破倫無道の挙’か、冤罪か―結審の時来る。
――(幸徳秋水が担当弁護士にあてた陳弁書には)無政府主義にたいする誤解への弁駁と、検事の取り調べの不法とが述べてある。
この陳弁書にあらわれたところによれば、幸徳は決してこのような無謀を、あえてする男ではない。
それは法廷での事実と符合している。
―― 社会主義者、無政府主義者たちが明治天皇の暗殺を企てたとされる、いわゆる幸徳事件。
当初は「破倫無道の挙」「常識を失した凶暴な沙汰」と断じていた石川啄木は、事件記録に記された検察による事実の歪曲に愕然とする。
一方、ことを早く片づけたい検察は、逮捕後異例のスピードで予審を終え、嫌疑のかかる26人全員に極刑を求刑してしまうのだった――。
事件関係者について綿密に調べ上げ、その真の姿に肉薄した渾身のノンフィクションの完結編。




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