父の実像を追求する『血族』の続編的長編。<br />「私は競馬に熱中する。<br />父の血が競馬にかりたてるように思うのだ……」私は府中の競馬場のパドックで、川崎の幸町小学校での同級生・石渡広志に、偶然会った。<br />このことがきっかけとなり、私の川崎での幼時体験の記憶が動きだす……。<br />記憶の彼方にいるおぼろげな父の像。<br />こわい夢がオーバーラップする……。<br />前作『血族』に続き、私小説的な手法を用い、熱き愛で静かに父の実像を凝視した長篇。<br />