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君が僕を

真名がいた間、弱いのはいつでも私だった。
真名は姿を現すと、野良猫にでも近づくようにゆっくりと近づき、右手の人差し指を持ち上げ、まるで指紋を見せるかのように私の目の前に差し出した。
私は左手の人差し指を、真名の指に重ねた。
真名は野生動物のように微笑んだ――。
真名は街のショッピングセンターの商売繁盛の神様‘恵まれさん’をしている。
私は‘恵まれさん’の‘執事’。
私は真名を愛することに日々を費やしている。
一学期が始まって、父が沖縄から家に帰ってきた。
そして真名と鉢あわせをした。
父に真名との関係をすべて打ち明けると、父は真名にこう尋ねた。
「将来なにになりたい?」変化の兆しが表れたのは六月末。
真名がなんと、‘恵まれさん’を引退すると言いだした。
それは、真名が、この街を去ってしまう日が近づいているということでもあった。
‘恵まれさん’を引退した彼女は、とうとうお金に触れるようになってしまう。
とたんに、彼女の外見と行動にも変化がみえ始め、私は動揺する。
そんな私と真名の目の前に現れたひとりの少女――それは私よりも昔、真名の‘執事’を務めていた縁だった――。
耽美、哲学的百合小説。
堂々の完結。
「君が僕を」のメッセージがいま、解かれる。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。




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