苺畑の午前五時
ビートルズを愛した少年の60年代青春小説〈小学六年の正月に、亮二はお年玉でポータブル電蓄を手に入れた。
三千円であった。
その電蓄を買って一か月も経たないうちにビートルズが日本でレコード・デビューをしたのである。
ビートルズはそれまで亮二が聴いていたポピュラー音楽とは、全く異なったものであった。
それからの亮二の小遣いは、その殆どがビートルズに費やされることになったのである。
……発売されるビートルズのシングル・レコードは、すべて買った。
LPレコードを買うために、昼食のパン代もためるようになった。
いまの調子でいけば、二学期に入ってすぐにLPが一枚買えるはずである〉――1963年から70年代まで、少年は中学高校と成長していく。
淡い恋、性への憧れ、そして音楽。
ジョンやポールがとても大切だったのと同じように、愛する恋人を抱きしめて彼は時代を駆け抜ける。
エヴァーグリーンな青春小説の名作が甦る。
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