冬の蜃気楼
美少女と中年男に弄ばれる甘美で残酷な青春。
1958年、東京郊外にある映画撮影所(著者が助監督として活動した松竹大船撮影所がモデル)から物語は始まる。
主人公は大学を卒業したばかりの22歳の助監督。
映画界は最盛期を過ぎたとはいえまだまだ活気に満ちている。
新人女優として突然主人公の目の前に現れた16歳の美少女と大根役者の中年男をめぐってストーリーは展開する。
ほとんどは、巨匠が監督する映画「一葉」の撮影現場である。
当時の映画製作の現場が微細に生き生きと描写される(著者がこれほど詳細に映画製作の現場を描いたことはない)。
最終の第12章のみ33年後という設定である。
甘美な青春の日々とほのかなエロティシズム――、青春の苦さを見事に描いた傑作長篇小説。
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