つめ
30代パート主婦、トラブルは受けて立つ!真野朱音は、2年ちょっと前に、中学校の同級生勝裕と結婚した。
小学5年生になる勝裕の連れ子・裕也との3人家族である。
子ども会の渉外担当として朱音が南郷不二美を訪ねたのは、尾花公園に面した南郷宅の金網フェンスを覆ったイバラの棘で、子どもの怪我が続いたためだった。
南郷は、50代後半の一人暮らしの女性で、愛犬はドーベルマン。
気むずかしいという評判だった。
イバラを剪定させてもらいたいとお願いすると、「子どもの怪我なんか知るか。
親の責任じゃ、あほっ」と吐き捨てられた。
市役所が、公園にロープを張って注意喚起のプレートをかけてくれたが、その夜、寿司屋から特上にぎり八人前が届く。
翌日には、ケーブルテレビが契約の確認をしたいと訪ねてきた。
どちらも注文したのは自分ではない。
やったのは、南郷だ。
同じ頃、裕也がまたいじめに会っていることがわかった。
裕也は、「僕はいじめられても平気な強い人間になる」という。
朱音は決心した。
裕也に、身をもって教えてやるべきだ。
やられたらやり返すべきだということを。
いや、やらないとやられてしまうということを、だ。
ご近所のモンスターとの壮絶なバトルが今、始まる――。
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