聚楽第の庭にふさわしい、紫の椿を探すように命じられた又左。<br />又左がただ一度見た紫の椿は、忘れることのない女人との苦い記憶とともにあった――。<br />表題作のほか、連歌師の里村紹巴を描いた「天下百韻」、醍醐の花見での料理勝負「包丁奥義」、落語の祖といわれた安楽庵策伝がただひとり敵わないと思った男を描いた「笑うて候」など、全七編。<br />秀吉の世に生きた美の変革者達にまつわる珠玉の作品集。<br />