未だ王化に染はず
覆面作家として発表した幻の小説を初電子化。
<ぼくは今、学説を覆すに足る新事実を発見しようとしています。
村人は語りませんが、蝦夷からアイヌ民族の出現に至るまでの空白期間を埋める幻の狩猟民族の末裔が、暗火岳に生きているのです。
その所在を確かめるために明日暗火岳に向かうつもりです> 友人の私にこのような葉書を送って北海道・知床半島で消息を絶った鴫沢澄夫。
大学で考古学を専攻する私は、彼が主宰する北方の狩猟文化をテーマとした研究会にも顔を出していた。
姿を消した鴫沢を追って、私は彼に心を寄せていた女性、奈美とともに、北海道に渡る前に出かけていたという新潟の山村へと旅立つ。
その地は研究会にも参加していた考古学の権威、環教授がかつて調査に赴いた場所であり、そこで私は鴫沢と環教授の不思議な連関に気づくのだった。
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