スープの国のお姫様
謎解き×薀蓄が美味しい6皿のスープの物語。
元料理人の僕は、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介される。
それは、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作ること。
報酬は破格だった。
屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。
両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識を持っていた。
幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和に自分と似たなにかを感じ、二人は少しずつ心を通わせていく。
終戦後に食べた想い出のポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープ、せかい1おいしいスープ……。
僕と千和は力を合わせて、無理難題のようなリクエストのなかに隠された‘謎’を解いていく。
そしてついに僕は、ずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」の手がかりを見つけるが――。
哀しみから再生し、明日を向いて歩む力をくれる6皿のスープの物語。
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