十津川警部 高山本線の秘密
犠牲になるのはいつも子供だ! 女性カメラマン夏川えりは、故郷である飛騨高山へ向かった。
高山から足をのばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。
太平洋戦争末期、従軍看護婦として満州に渡っていたえりの祖母夏川勝子が一時帰国し、R村で行方知らずになっていた。
今、改めてこの村のことを調べてみようと思って訪れたのだ。
ところが、えりもR村で姿を消してしまった……。
一転、東京三鷹で独居老人浅野真治が殺された。
現場へ駆けつけた十津川は、驚くべき証言を得た。
溯ること七十数年前、浅野の父親である浅野真太郎が唱え、敗色濃い日本軍がとったとされる「永久戦争」のことを知ることとなる。
歴史の闇に葬り去られようとしていた悪魔の戦術が、現実によみがえろうとしていた。
そして、その要の地が、夏川勝子やその孫の夏川えりがたどったR村だったのだ。
十津川警部は、二つの事件の背後にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。
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