私はあなたの記憶のなかに
角田ワールド全開!心震える待望の小説集。
《「さがさないで。
私はあなたの記憶のなかに消えます。
夜行列車の窓の向こうに、墓地の桜の木の彼方に、夏の海のきらめく波間に、レストランの格子窓の向こうに。
おはよう、そしてさようなら。
」――姿を消した妻をさがして僕は記憶をさかのぼる旅に出た。
》(表題作)のほか、《初子さんは扉のような人だった。
小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた。
》(「父とガムと彼女」)、《K和田くんは消しゴムのような男の子だった。
他人の弱さに共振して自分をすり減らす。
》(「猫男」)、《イワナさんは母の恋人だった。
私は、母にふられた彼と遊んであげることにした。
》(「水曜日の恋人」)、《大学生・人妻・夫・元恋人。
さまざまな男女の過去と現在が織りなす携帯メールの物語。
》(「地上発、宇宙経由」)など八つの名短篇を初集成。
少女、大学生、青年、夫婦の目を通して、愛と記憶、過去と現在が交錯する多彩で技巧をこらした物語が始まる。
角田光代の魅力があふれる魅惑の短篇小説集。
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