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無限回廊案内人

あなたの記憶のカケラ、いただきます――。
誰も知らない街の片隅に、ある日突然現れては消える喫茶店がある。
いつも同じところにあるとは限らず、またいつも同じ姿をしているとも限らない。
一度は訪れたのに、二度と近づけないこともある。
ここは迷える魂を抱えた者だけがたどりつく場所だ。
店内は深い水底のようにひっそりと静かで、不思議なマスターが美味しいコーヒーを淹れてくれ、ときどき機械仕掛けの金魚を連れた美しい少女がやってくる。
僕がかつてふと迷い込んだ「アクアリウム」は、そもそもそんな店だった。
少女――キリトは、今日も来訪者に告げる。
「あなたは、何が欲しいの?」 運よく彼女に出逢えた客は、心の内にわだかまった望みを叶えてもらえる。
だが望みの成就と引き替えに、彼らは必ず何かを失って店を出るのだ。
僕はキリトのそばで、そのさまを幾度も眺めている。
「あなたの記憶のカケラ、いただきます」 カケラは降り積もって、やがて別の誰かの望みを叶える鍵になる。
記憶鮮明オカルトファンタジー!




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