空に牡丹
ご先祖に思いを馳せるファミリーヒストリー。
私のご先祖様には花火に魅せられ、一財をつぎ込んで生きた静助さんという人がいる。
―――時は明治初期。
江戸から東京になったが、地方ではいまだ江戸と呼ばれていた時代。
その江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた静助は、ご一新で世間が大きく変わるなか、何不自由なく暮らしていた。
ある日、静助は母親と出かけた両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、ひと目で心奪われる。
江戸の花火屋たちは、より鮮やかな花火を上げるため競い合っているという。
村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時代の波が、次第と静助一族を呑み込んでいく……。
※この作品は、『空に牡丹』(単行本版)の文庫版となります。
更新中です。しばらくお待ちください。