十津川警部シリーズ 一九四四年の大震災――東海道本線、生死の境
太平洋戦争の悪行が70年後に暴かれる! 浜名湖の湖岸にある「フジタ浜名湖地震津波研究所」のビルが炎上し、そこから男の焼死体が発見された。
男は、主宰者の藤田武。
妻の美里には、何のために武が死んだのか分かっていた。
時代は一気にさかのぼり、太平洋戦争の末期。
武の祖父徳之助は、「フジタ地震津波研究所」をつくり、息子の健太郎とともに研究をしていた。
米軍による日本本土への空襲が勢いを増す中、敗色濃い戦時下に政府、軍部が国民に強いたものは、言論統制、報道管制だった。
その圧制下にあって大地震・津波の襲来を予知し、警鐘を鳴らそうとしたのが藤田親子だった。
ついに、1944年12月7日に大地震が東海地方を襲った。
後に言われる昭和東南海地震である。
これが次の大地震を誘発すると警告する藤田親子を、当局は拘留し迫害した。
そして、翌年1月13日には三河地震が起こったのだった。
しかしながら、徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に送り込まれ、徳之助は行方不明に。
それを命令したのが、川崎憲兵隊長だった。
戦争での悪行を暴くために、戦後、藤田健太郎と武は、それぞれの時代に動き始めた――。
※この作品は、『一九四四年の大震災――東海道本線、生死の境』(単行本版)の文庫版となります。
更新中です。しばらくお待ちください。