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後家殺し

直木賞作家が落語演題を大胆な解釈で小説化。
●子別れ腕は良い大工だが呑兵衛の熊五郎。
呑み過ぎないよう妻のおとくに釘を刺されていたが、棟梁に前借りした50万円を、勢いにまかせて遊郭ですべて溶かしてしまった。
ついに愛想をつかしたおとくは、一粒種の亀吉を連れて出て行ってしまう。
●景清腕のいい鏨彫り物師だった定次郎は、目の病を患い、わずか半年で失明してしまった。
按摩の修行を始めたものの、かつての仕事への未練を捨てられず、目の病に御利益があるという赤坂の圓通寺の日朝さまに、願掛け参りを始める。
●後家殺し刃物研ぎ宿「研ぎ常」の親方である常吉の強みは、声の良さにある。
義太夫の師匠中堀十元に、熱心に稽古をつけてもらっていた。
天保三年六月、森田座にて開かれた義太夫の小屋で、常吉は運命の女に出会う。
●火事息子蔵前天王町の大身札差・伊勢屋四郎左衛門は、従弟で質屋を営む伊勢屋藤右衛門の息子・藤三郎を溺愛していた。
幼少から火消しに憧れている藤三郎のために、四郎左衛門は火の見やぐらを建設し、半鐘番に就けるよう根回しをした。
●柳田格之進彦根藩納戸役を免職となった柳田格之進は、浅草馬道の碁会所で質屋、万屋源兵衛と対局し意気投合する。
対局はその後、格之進の出費を気遣い、万屋の離れにて行われることになった。
二人の関係は、八月の十五夜まで盤石だった。




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