雨のち、シュークリーム
大好きな人を笑顔にするのは、手作りおやつ。
「シュークリームは天使だ」「苺は誘惑のプリンセスだ」 おいしそうなものを見ると、思わず語ってしまう変な「くせ」を持つ高校二年生の桐原陽平は、調理部唯一の男子部員。
顔も体も四角く、全体的にごつい上に無口なため、はじめは完全に浮いていた。
部活で食べ物を目の前に語りだし、部員全員を引かせたが、優しく声をかけてくれたのが希歩だった。
今では仲良しカップルとなった二人の出会いだ。
陽平の入部のきっかけは、家でのごはんづくりに役立てるため。
小学生の頃に母と死別し、父と八つ年下の弟・朋樹と三人で暮らす陽平は、父と交替でごはんを作っているのだ。
ときどき希歩が家に遊びに来て、朋樹と三人で料理をする。
朋樹が「大きくなったら希歩ちゃんに告るから」と宣言したため、兄弟は恋のライバルでもあった。
母親の記憶がない朋樹のために、料理の苦手な母がつくったごはんを再現する「お母さんの日」の揚げパン。
風邪をひいた希歩のために、陽平がつくる「すりおろしタマネギのスープ」……。
温かくておいしいおやつとごはんが家族と恋人をやさしく包む、ハートウォーミング青春小説。
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