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万葉集歌解き譚

恋の道行き暗転!?陰陽師の末裔、秘伝の技。
賀茂真淵の弟子で薬種問屋と油問屋を兼ねる伊勢屋の娘・しづ子の歌の名所めぐりは、葛飾の真間への旅で火が付いた。
安藤広重の浮世絵でも名高い手児奈の継橋を目の当たりにしたしづ子の、万葉集への思いは深まるばかり。
次なる旅は万葉集ゆかりの地、上野国伊香保に決まる。
一行はしづ子と母親の八重、伊勢屋手代の庄助に小僧の助松、それに女中のおせいの総勢五人。
もちろん、護衛役は伊勢屋出入りの陰陽師の末裔、総髪の占い師・葛木多陽人だ。
道中大過なく、伊香保温泉に到着した一行だったが、当の多陽人が五日間、別行動を願い出た。
どうやら、途中でなにか気になったものがあるらしい。
しかし約束の日時が過ぎても、いっこうに戻ってくる気配がない。
八重の命で捜索に向かった庄助と助松の胸に、国境の藤木ノ渡しの流れで目にした人形祓いが重くのしかかる。
この烏川の上流になにかあるにちがいない。
勇を鼓して川を遡り始めた二人が霧の中に見たものは――。
千年を超えて連綿とつづく和歌の魅力をわかりやすく伝えながら、歌の言の葉で心を通わす大店の娘しづ子と不思議な術を使う総髪の占い師・多陽人のほのかな恋のゆくえを描く。
「万葉集歌解き譚」シリーズ第3弾。




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