手柄を挙げろ。<br />どんな手を使っても――。<br />天文十五年。<br />功を焦り戦場を駆ける掃部介は、血まみれで横たわる旧友・猪助を見つける。<br />かろうじて息のある猪助は息子に恩賞を渡してほしいと、討ち取った首を掃部介に託す。<br />その首は、敵方総大将のものであった――。<br />(「頼まれ首」)首級ひとつで人生が変わる。<br />欲に囚われた武士たちのリアルを描く六つの悲喜劇。<br />