元研ぎ職人の栄七は六十歳を超え、静かに暮らしていた。<br />だがある日、捨て子を助けようとして、拐かしを疑われ捕縛される。<br />栄七は二十七年前、弟弟子を誤って殺し遠島となったが、大赦で帰還していたのだ。<br />御用聞きの横暴に、戻り舟の二ツ森伝次郎は激昂する。<br />人を過去で判断するなと解き放つが、栄七を狙う不審な影が――。<br />老同心の粋な裁き、人情沁み入る熱血捕物帖。<br />