千住の遊女おりんは、昨夜も茶を引いた。<br />岡っ引きの幸助が捕物でしくじり、来なかったからだ。<br />このままでは、おりんは他所へ売り飛ばされる。<br />焦る遣り手のおひろに、やる気のないおりん。<br />そこに現れたのは……(「女郎花」より)。<br />深くて暗くて絶対に埋まらない男女の溝。<br />おひろは、それを少しでも埋めようとする。<br />飯盛旅籠を舞台に、人生の機微を描いた傑作時代小説。<br />