「あいつは俺を……恨んでる」。<br />チャイナタウンの片隅で、ハルはシンと同居しながら、その心のうちを掴みきれずにいる。<br />シンの中に自分への憎しみがあるのではないかと、そう疑ってしまうのは、少年時代、二人が出会った頃のある事件のせいだった。<br />ストリートチルドレンだったハルが出会った、中国人形のように美しいシン。<br />闇にとらわれたある男の籠の鳥だった彼を、ハルは自由にしてやりたかったのだ……。<br />