国際的ヴァイオリニストの館原新良は、慰問で訪れた軽井沢で出来心から逃亡し、とある洋館に入り込む。<br />そこには聴覚に障害のある美しい青年・吹野がひとりで暮らしていた。<br />音のない世界とはどんなものか。<br />館原には想像もつかず、そのまま身分を偽り住み着いてしまう。<br />刺繍をする吹野のそばで穏やかな日々を送るうち、音だけでなく現実社会まで切り捨てているような吹野の頑なさをもどかしく感じ始める館原だが…?