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七彩抄

鬼才・楠田文人が描く、どこかおかしくて、ちょっと不思議な世界へようこそ。
15分間の現実逃避をお楽しみください。
千代は、矢坂家の手伝いとして雇われ、飯炊き手伝いやお嬢様のお守をしていた。
その日、旦那様の言い付けで町まで飴の壷を取りに行った千代は、帰り道に神社で一休み。
すると、本殿のほうから大鯰がやってきた。
大鯰は、ちらっと千代を見た。
「ばほっ」 大鯰は千代に驚いて腰を抜かし、賽銭箱の前に尻餅を着いて、階段で固まる千代と見合ったままの格好になった。
「に、人間?」「大鯰?」 一人と一匹が声を発したのは同時だった。
「うぎゃっ!」 一人と一匹は逃げようとするのだが、双方とも腰が抜けて動けない。




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