紀美は図書館で働く司書。<br />地味で、くすんだ格好をしているけれど、図書館の仕事に誇りを持ちながら働いている。<br />それに、紀美には密かな楽しみがあった。<br />週末に図書館を訪れる男性がとても気になっていたからだ。<br />知的な風貌で長身の人。<br />ちらりとでも見かけることができたら、幸せな気分に浸れる。<br />ある日、返却された本を書棚に戻している時に、その男性から思いがけず声をかけられた。<br />