高校時代、樹里には三年間ずっと好きだった人がいた。<br />玲志はテニス部のエースで、クラスでも目立つ存在だった。<br />けれど、玲志には彼女がいた。<br />打ち明けられるはずもなく、樹里はひっそりと卒業した。<br />あれから七年。<br />真夏にクラス会が開かれることになった。<br />「きっと、わたしのことなんて忘れているだろうな」ドキドキしながら出席したら、玲志の方から樹里に話しかけて来た。<br />「あれ? 久しぶりだね」思いがけず二人きりで話すことになり、樹里は舞い上がる。<br />